悪魔の手毬唄

Akuma no temari-uta

1977年 製作       東宝映画



製作     市川 崑・田中 収
監督     市川 崑
撮影     長谷川 清
美術     村木 忍
音楽     村井邦彦


『パンゲア映画学校』の私の文章にも書いてあるのですが、このシリーズを撮影していたのが長谷川清キャメラマンである。
1作目の「犬神家の一族」からスタンダードサイズを採用していた。    
この頃の主流はまだシネマスコープサイズだったので、逆に新鮮だったのを覚えている。
照明と撮影が素晴らしい。
舞台となる鬼首(おにこべ)村を全体に暗いトーンで描きながら、見事にその空気を表現している。
間接照明を多用し、黒からハイライトの白までを画面の中にうまく配置している。日本家屋の中の暗さを、障子や窓のハイライトを極限までとばして際立たせる。
人物もリアルな光の方向性を敢て無視してハイとローの中に描ききる。
ある意味非常に個性的な画造りは市川崑監督のものなのかもしれない。
過去の「炎上」(撮影 宮川一夫)なども間接光を上手く使っていた。
話の完成度もこのシリーズ中群を抜いて高い。
岸恵子や若山富三郎、中村伸郎、等の役者さん達も実に落ち着いた演技をしている。役者という言葉を尊敬を持って使いたくなるような人ばかりだ。
特に一つ挙げておきたいのは市川崑の編集テクニックである。役者の台詞に呼応するかのようにカットが自由に織り成されていく様は、みるものをあっという間に作品世界の中へ入り込ませる(このもっとも完成されたものが「細雪」の開巻のシーンで見られる。姉妹達の会話のリズムを利用して姉妹達の性格やその立場までを浮き彫りにするカッティングの見事なこと!)。
撮影というか映像の面白さを存分に伝えた作品である。


間接照明:通常、映画等で使用するのはスポットライトが主流だが、このライトはそのまま当てると影との境界がハッキリとしたものになる。そこで、レフ板や白い発砲スチロールの板等に一度反射させてみると、影との境界がボケる。柔らかい光の感じを簡単に表現することができる。