フランケンシュタインの怪獣

サンダ対ガイラ

The War of the Gargantuas

1966年 製作       東宝映画



製作     田中友幸・角田健一郎
監督     本多猪四郎
特技監督   円谷英二
特技撮影   有川貞昌・富岡素敬
音楽     伊福部昭


かねてより思っていた事なのですが、円谷さんの表現の中で特にうまいなぁと思うのは、水と夜の表現でした。
様々な作品の中でそれは見る事が出来ますが、この「サンダ対ガイラ」ではいきなりトップシーンからその二つの要素で始ります。
夜の海上を航行する船。怪獣の出現と共に嵐が画面を覆います。
円谷さんの描く夜の特徴は、けして明るくはないのに隅々まで見えている事です。 
所謂、露光が不足して暗くなっているのではなく、フィルムに十分感光させているという事なのではないかと思います。
現代の日本映画を見るとその差が分かると思います。予算や体制の違いから来る照明量の違い。主となる被写体は十分照明があてられているのですが、バックまで細かくあてていない為に露出不足の闇が出来てしまうのです。 それをレンズの明るさでカバーしようとしているのでどうしてもカチッとしまらない黒になってしまっています。
今でもこの低照明、低露出はまるでブームのように世界中で使われています。その技術でしか描けないものならば納得しますが、どれもこれも低露出ばかりの作品を見せられ続けていると昔の技術的に低露出が出来なかった頃の作品が豊かなものに見えてきます。
1966年と言えば映画界も入場者数の減少でかなり喘いでいたはずなのですが、この作品にはまだ豊かさがあります。
これは後で知った事なのですが、円谷さん自身、映画の世界に入った当初はキャメラマンをしていて、夜をリアルに撮影しようと低露出に挑戦し、会社から干された事が
あるとの事。この時の経験がのちの豊かな夜の表現になっていったのではないでしょうか。
お話の方は怪獣プロレスの要素が濃く、怪獣の恐怖や重圧感をすててしまっていて残念な気がしますが、技術的には東宝特撮が円熟期に達した頃の作品だと思います。