クレヨンしんちゃん
嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲
Fierceness That Invites Storm! The Adult Empire Strikes Back
2001年 東宝
原作 臼井儀人
監督・脚本 原 恵一
演出 水島 努
作画監督 原 勝徳・堤のりゆき・間々田益男
撮影監督 梅田俊之
音楽 荒川敏行・浜口史郎
制作 シンエイ動画・テレビ朝日・ASATSUーDK
しんのすけ 矢島晶子
みさえ ならはしみき
ひろし 藤原啓治
ひまわり こおろぎさとみ
ケン 津嘉山正種
チャコ 小林 愛
誰でも知ってる、お馴染みのキャラクター『しんちゃん』を主人公にしたテレビシリーズの劇場版である。
懐かしさの匂いで大人たちを虜にし、21世紀から20世紀への回帰を企てる組織と野原しんのすけ一家の戦いを描いた破天荒な話である。
しかし、開巻の万国博覧会から、まるでお話の中の大人たちのように見る者を懐かしさで眩惑する。そこにあるのは昭和、それも30〜40年という時代の匂いだ。
組織のボス、ケンが言う「21世紀には時代の匂いがない」と・・・そのセリフにハッとさせられる。まるで、今ある閉塞感をうまく言い当てられたかのようだ。
劇場版は10作(2003/1現在)作られているが、ちょうど半分くらいから監督が原恵一に交替している。その頃から何かこの作品の予兆のようなものは感じていたのだが、
本作でそれはとうとうピークに達したようだ。作品に出てくる「いつも夕焼けの街」は作者達の子供時代の反映であろう。いつもなら対立する悪として描かれる組織が悪になりっていないのは自分達にあるものの反映だからこそなのではないだろうか。
しかしあくまで主人公は野原しんのすけ。最後はしんちゃんの頑張りでもとの21世紀へもどるのだが・・・
余談だが、最新作『戦国あっぱれ大合戦』ではとうとうしんちゃんが狂言回しに終止しお話が進行する。主人公は戦国時代に生きた人々になっているのだ。
子供向けと言われる事に抵抗するかのように。
私は、日本のアニメ技術は東映動画時代にすでに完成していると思っているのだが、「うる星やつらービューティフルドリーマー」「ルパン三世ーカリオストロの城」「機動警察パトレイバー」等とみていくと、その表現の幅の広さと精神性に驚かされる。
そういった流れにこの「クレヨンしんちゃん」も確実に入っているように思うのだがいかがなものだろうか。
しんちゃんという現在の子供が親(大人)をどう見ているのか、どう感じているのか、それをこの「モーレツ!おとな帝国の逆襲」は描いている。