雑誌・小型映画

magazines, small movies




かつて「8ミリ」というフィルムがありました。
それはプロフェッショナルでない人間にも手軽で簡単に映画を撮る事ができるものでした。
雑誌「小型映画」はそんな8ミリ愛好家達向けの雑誌です。
私は子供の頃より映画が好きで怪獣映画やテレビの特撮ドラマなど夢中になって観ていました。
それらの映像は私を虜にしました。
小学生の時は「カセット8ムービー」なるおもちゃでよく友人達と映写会を開いていました。
このおもちゃは8ミリフィルムがカセットの中に仕込まれていて、カセットをポンと装着し、手回しのハンドルでフィルムを送るものでした。ソフトにはゴジラシリーズやアニメなどが販売されていました。
毎日のようにそれらフィルムを観ているうちに自分で撮影してみたくなってきました。ちょうど学校帰りにあるカメラ屋さんのショーウインドに8ミリカメラが飾られていました。
ちょっときっかけが思い出せないのですが、いつの間にかそのカメラ屋の主人と話すようになっていた私はその主人の持つ8ミリカメラを借り、飛行機の模型を夕日をバックに撮影したのが小学6年生の時でした。
現像から上がったフィルムを一コマ一コマみているとそこには確かに大空を飛ぶ飛行機の姿が美しい夕日を背に映し出されていて・・・それからはますます映画へのあこがれがつのるばかりでした。
そんな時に出会ったのがこの雑誌「小型映画」です。
「自分で映画を作れる」。
それは私の夢であり、その情報が満載されたこの雑誌はバイブルのような存在でした。
捨てることもせず、ずっと我が家で眠り続けていたこの雑誌をもう一度引っ張り出してみると、そこには映画を思い続け、恋いこがれていたあの時の自分がいました。毎号掲載される記事や情報を食い入るように読んでいたことを思い出します。
丁度私が買いはじめた70年代は若い人達が8ミリで映画を撮りはじめた時期になります。
「自主映画」という言葉が一般に浸透しはじめたのもやはりこの頃です。
中学生になった私は魚屋でかまぼこ売りのバイトをしてカメラと映写機を手にしたのです。
そうなると頭の中は映画の事だけでした。習作のような作品を何本か撮ったり、公害という社会問題をテーマに作品を創ったり。高校生の時は40分の特撮も使った社会派のサスペンスと90分のアクション映画を撮り、当時創刊されたぴあに応募して佳作になったり。小型映画にはその時の映画を紹介してもらえたりもしました。
その後、ビデオが台頭し雑誌小型映画は1982年に廃刊となりました。
その間私の機材はリコーZ800からZC1000になり廃刊後のしばらく後まで使い続けていました。
こんな「映画」の時を一緒に過ごしたのがこの「小型映画」なのです。