2011年
「えんずのわり」は国の重要無形文化財に指定された小正月に行われる鳥追い行事です。特徴的なのは子どもたちだけで「ぼら」と呼ばれる横穴に一週間前から寝泊まりし(現在はぼらの上にある五十鈴神社にて就寝)行事に使う木の棒の調達から朝晩の食事も自分たちで精進料理を作り文字通り寝食を共にしながら穢れをおおとします。当日は木の棒で地面を打ち鳴らし集落の家々を周ります。そして、
「えんずのわり、とうりょうば(意地の悪い鳥をば)、かすらわって、すおつけて(頭を割って塩つけて)、たあどうがあみさたあだみいれで(タトー紙にたたみ入れて)、えんぞがしまさながせ(エゾが島さ流せ)」と3回唱えます。
最後に集落の集会所で開かれた報告会を撮影したのが2011年の2月終わり…その2週間後、2011年3月11日14時46分、東北地方を中心にM9.0の激震が襲いました。東日本大震災です。地震直後に太平洋沿岸を襲った津波は各地に甚大な被害をもたらしました。地震後出来る限りの支援物資を車に積み3月30日、31日の2日間現地へ行ってきました。まず東北自動車道が地震の影響で所々道が歪んでおり、比較的大きな高低差も生じており車がバウンドして腹をこすりました。地震の大きさを感じながら北へ。島に至る野蒜地区も津波被害を受け、遠くまで視界の通る風景にまるで空襲を受け焼け野原になった街を見ているような錯覚を覚えました。島に入り最初に訪れた宮戸小学校は避難所になっており多くの島民の方が避難しており、自衛隊による入浴サービスが行われていました。
監督 飯塚俊男