実践的製作日記「水の記憶」

2003年
6月 6日
今回は大変古くからお世話になっているイエローツーカンパニーさんの仕事である。 8時に集合して、一路新潟へ。今回の作品のテーマである「水」を撮影するためである。ほとんどのカットがCGや資料映像の背景となる。撮影フォーマットのメインはPanasonicのVaricamで、一部同じくPanasonicのAGーDVX100を使用している。撮影機材はパナソニック映像株式会社さん。。

昼過ぎに到着。新潟を流れる信濃川にて、地元漁師さんの船をチャーターし、半水中撮影から始めることにする。


「水の記憶」撮影風景1



今回この水中撮影をどうするかで、打ち合わせ時から悩んでいたのだが、ビデオエンジニアの方からPanasonicのAGーDVX100用の水中ブリンプの存在を教えていただき、なおかつまだレンタルを始めていない段階での使用もさせていただける事になり非常に助かった。


「水の記憶」撮影風景2

ボートの舳先からこのブリンプを水中に入れ、魚の見た目のような映像を撮る為である。ただ一点残念だったのは、撮影中に外部でモニターできないので、アングルに関しては勘に頼るしかなかった事である。水中でダイバーが操作する時はファインダーの映像をを見る事ができるのだが、今回のように体から離して撮影する場合には映像を見ながらはできないのだ。ただし、モニター用のケーブルを接続するためのスペースが既に設けられており、今後は対応できるようになるとのこと。開発中の物を貸していただけた事で表現が広がった。


「水の記憶」撮影風景3

もう一つの秘密兵器がイージーリグである。御覧の通り、体に装着したショルダーから伸びた支柱の先にキャメラを吊るすだけの単純なものである。


「水の記憶」撮影風景4
実は10年程前、コマーシャルの撮影時にキャメラマンから35ミリキャメラで手持ち撮影する為に何か介助する装置を考えられないかとリクエストされた事があり、山等で荷物を担ぐ為の背負いこに、棚を作る時に使うアングルを取り付け張り出し、その先に自転車のタイヤチューブを付け、カメラを吊るすという装置を自作した事があるのだが、それがもっと洗練されて商品になっているとは最近まで知らなかった。
キャメラを吊り下げるヒモのテンションを調整することで様々な重さのキャメラを吊る事ができるようになっている。今回のような船の上からの撮影では、波の影響による揺れが問題になるのだが、この装置を使用することでそれを軽減させる事ができた。今回はnacさんからお借りした。。


「水の記憶」撮影風景5
「水の記憶」撮影風景6

船上からの撮影を5時頃まで続け、信濃川万代橋近くへ移動。夕方から朝までの変化を橋を絡めて撮影するためである。 イントレ(撮影の為の足場。映画「イントレランス」からの命名らしい)の上にキャメラを固定し各時間毎に等速度のズームをくり返し、編集時に一回のズーミングで夕方から朝まで変化するように見せる為である。


「水の記憶」撮影風景7
「水の記憶」撮影風景8
「水の記憶」撮影風景9



レンズはCanonのHJ21×7、5B。深夜にはそれほど光に変化がないため、撮影はしないのだが、ポジションを動かす訳にはいかないので、今回の制作進行の二人が交代で番をする事に(本当に御苦労さまでした)。流れてくるゴミを取ったりと実によく働いてもらいました。一見、クリエイティブな作業とは無縁に思える事だが、彼等のようスタッフがいなければ、現場は成り立たないのだ。  


「水の記憶」撮影風景10

6月 7日
再び午前3時に現場に戻り撮影再開。段々と明るくなってくる空を撮影。
その後、街や公園で憩う人々を夕方まで撮影しこの日は終わる。 食事後、撮影した分のラッシュを見る。今回FRC(フレームレートコンバーター)を持ってきてもらったので60P撮影したものは倍のスローモーションで見る事ができる。実に滑らかな印象。シネガンマ撮影しているので、ハイライトからローまでの階調がフィルムのようにしっとりしている。
ビデオ対フィルムの構図の時代はもう終わりを告げ、本当の意味で画調(ルック)の時代が来たのかもしれない。  

6月 8日
今日は船の上からの撮影の残りから。先日、イージーリグにVaricamを装着したのだが、望遠での揺れが思ったよりきつく、今日は全てAGーDVX100に切り替える。AGーDVX100の光学式防振装置(所謂:手振れ防止:の事)の助けを借りることにしたのだ。 


「水の記憶」撮影風景11



これは大正解であった。佐渡汽船を追い掛ける撮影があったのだが、場所は川の河口近くで波が激しく、どうなる事かと心配であったがうまくいった。


「水の記憶」撮影風景12

今回、Varicam、AGーDVX100共に初めての使用であったが、使い勝手がよく、よく撮影者の事が考えられているなと感じた。正直、今までビデオキャメラは池上かSONYしか考えられなかったが、その認識を改める必要がありそうだ。 


今回、Varicam、AGーDVX100共に初めての使用であったが、使い勝手がよく、よく撮影者の事が考えられているなと感じた。正直、今までビデオキャメラは池上かSONYしか考えられなかったが、その認識を改める必要がありそうだ。