音を聞き、感じる時、私達は耳だけでなく体全体で受け取る。コンサートや祭りの
興奮は耳だけでは体験できない。それでも基本的に音を理解できるのは耳である。小
さな音から大きな音、無限に近い種類の音、それらを聞き分けるのは耳である。
人間の声は一人一人違う。虫も鳥も、動物も個々の声がある。電車や飛行機、機械
も違う音を持つ。
これだけ多くの違う音を聞き分けることが出来る上に、人は音を選択して聞いている
。母親は人ごみの中でも我が子の小さな声を聞き分ける事が出来る。恋人の呼びかけ
は遠くからでも聞こえる。コンサートで楽器の種類を聞き分けることも出来る。
私達は、同じ音でも遠近感がわかる。大小だけではなく距離感も理解できる。
私達は音源から直接音を聞いているわけではない。必ず距離をおいて聞いている。
この距離・空気感が心地よい響きを作っている。シンフォニーなどボリュームのある
音楽を聴いても疲れないのはこの為だ。
ウオークマンで人工的に加工された音を耳で直接聞いていると疲れるのは距離が無い
からである。